プロカメラマンになって、はや30年近くたちました。写真の虜になつた人にはわかるでしょうが、写真とは、三つめの目が出来たように、新しい眼球で見る悦楽を発見することだと思います。肉眼で見る風景より、レンズで覗いた風景の方が面白いという、カメラ中毒者だともいえます。フレームに閉じ込めた空間と、自分の認識の格闘をするのも楽しいものです。カメラは大人の玩具で、思わぬ事物を見つけたり、怒りをぶつけたり、空間に自分だけの美を創りだしたりします。その収穫物は、子供のおもちゃ箱を膨らますように楽しいものです。一慣性のない夢のようにあちこちに好奇心を向けた作品群ですが、順次見ていただければ幸いです。