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2005年01月15日

古本の足跡

注文した!
首からさげるものに弱いんだ…。カギもいつもさげてます。

よいとして、古本のお楽しみ。
前の持ち主の足跡が、ひょいと見つかることがある。

先日買った100円の文庫本「思い出トランプ」に、
4年前の映画祭のチケットがはさまっていた。
ジュラシックパークやハムナプトラなど、ハリウッド映画を
一度に見られるという、お得なもの。
本もそのチケットも、自分とは別の、だけれども自分と同じように
極めて平凡な生活を送っているだれかを想像させる。

やけに下線がひっぱってある本もあった。精神病に関する何か本だった。
どう解釈しても、下線の個所は、内容的にたいして重要な部分ではない。
狂ったように無数にひいてあるページがあったかと思うと、ぱたりと消え、
何十ページもへだてた後、突然また現れ、私を惑わせた。

こんなものもあった。
「グレイトギャツビー」だ。さぁ読もうと表紙をめくったら
中身は「ノルウェイの森」上巻だった。
ギャツビーはノルウェイの森の主人公が好きな小説だ(ったっけ?)。
しょうがないので読んだが、下巻が気になってしまい、
結局図書館で借りた。

こぐまちゃんシリーズの絵本の表紙に、
小さい歯形を見つけた。
どこかの赤ちゃんが、かっぷりと、そのかわいい口でかじったのだろう。
黄緑色でおいしそう、かむにはちょうど良い固さのハードカバーだ。

困ったのは…巌窟王、かモンテクリスト伯か、あぁ無情か、
(この3つの本、ごちゃごちゃ!)の分厚めの文庫本だ。
前任者の部屋の匂いが、ナフタリンのようにしみついていた。
臭いわけではないのだけど、読んでいるうちに酔ってくる。
人の家のソファで、時間を気にしながら読んでいる感じで参った。

そんな足跡たちは、ちょっと愛しい古本の醍醐味だ。
大阪までの新幹線のチケット、走り書きされた電話番号。
本の内容をしばし離れて、
見知らぬ前任者のことを、ぼんやりと想像するのです。


投稿者 wakaba : 2005年01月15日 22:28

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